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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十一「勝負は天秤、どうにでも転ぶ――日本は2年前に得た教訓を忘れるな」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年10月05日

たったひとりの選手、システムを変えただけで流れは一変する。

2年前のコロンビア戦だけでなく、06年W杯オーストラリア戦、98年W杯予選・韓国戦等々、日本が試合中の変化によって痛い目に遭ったケースは多々ある。今月のW杯予選2連戦では、過去の経験を活かさなければならない。 (C) Getty Images

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 サッカーの試合は天秤のようなものである。
 
 両チームは刻々と変化するなか、押し合いへし合い、力と技で応酬する。天秤は常に変化しながらも、どうにか平衡を保っている。しかし、不意にどちらかに傾くことで、風景は一変する。一方は見下ろし、一方は見上げる。前者が後者を凌駕することになる。
 
 わずかなきっかけが、天秤をぐらりと動かす。
 
 例えば、終盤にリードを守ろうとしたチームが、DFの枚数を増やし、5バックにする。守備を分厚くするという点では成功しているように映る。しかし、思いがけない作用が働く。
 
 追いつこうとするチームにとって、後ろを分厚くしてくれたことで、簡単にボールを敵陣に持ち運べるようになる。同時に、攻められる可能性が減ったことで、総攻撃にかかれる。相手をゴール前に押し込むことで攻撃を繰り返し、得点の率を上げることができる。
 
 たったひとりの選手を代え、システムを変えただけで、試合の流れが一変する。それがサッカーの奥深さだろう。
 
 先日のチャンピオンズ・リーグ、グループステージ第1節でのスポルティングは、前年王者のレアル・マドリーを相手に、後半途中まで互角以上の戦いを演じていた。
 
 しかし、右サイドを蹂躙し、試合を引き回していたジェウソン・マルチンスが下がると、途端に流れを失った。右サイドの猛攻が、後方から攻め上がる敵を封じ込め、それによって相手のディフェンス全体に混乱を与え、後手に回らせていたが、この交代策で“フタを外して”しまったのだ。
 
 結果、スポルティングは89分に、かつてこのクラブに在籍していたクリスチアーノ・ロナウドのゴールで同点とされ、アディショナルタイムに逆転弾を食らった。
 
 戦いは一筋縄にはいかない。
 
 2年前のブラジル・ワールドカップ、グループステージの最終戦で日本は、コロンビアと戦い、前半は互角以上の戦いを見せた。
 
 先制点は奪われたものの、長谷部誠を中心にポゼッションゲームを展開。能動的に戦い、大久保嘉人、内田篤人らが好機を作った。終了間際には、本田圭佑のクロスに岡崎慎司が合わせて同点弾。ディフェンスも相手のパスの出所を遮断し、焦りを誘発させていた。
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