【日本代表】15年のアジアカップ当時に比べて、日本は本当に弱くなったのか?

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェスト編集部

2016年09月27日

アジアの中で日本は「負けても仕方がない国」から「頑張れば勝てる国」に変わりつつある。

ハリルホジッチ監督が打ち出した「縦に速いサッカー」は理に適っているものの、実際には形になっていない。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月のワールドカップ・アジア最終予選が近づいてきたが、ここで問いたいのは「日本は本当に弱くなったのか?」だ。2015年1月のアジアカップを比較対象に、ここまでのハリルジャパンの歩みについて、4人の識者に裁決を仰いだ。
 
識者1 熊崎 敬氏の回答
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:はい

 

 アギーレ体制で臨んだアジアカップでは、4試合連続で同じスタメンが起用され、最後に足が止まった。あの頃に比べると、選手層は厚みを増していると思う。
 
 もっとも、方向性としては退歩した印象が否めない。アギーレはピッチの幅を生かし、 選手が適度な距離を保ったプレーを推進。志半ばで退任したが、そのスタイルはピッチ上でそれなりに表現され、論理的にも説得力があった。だがハリルホジッチが監督に就任して、目指すべき方向性が曖昧になった。
 
 振り返ればハリルホジッチ監督は就任直後、縦に速いサッカーを打ち出した。理に適って はいるが、実際には形になっていない。むしろ最近は日本の悪しき伝統が蘇っている。
 
 本田や香川が中央に集まることで発生する、車線の少ない「大渋滞サッカー」だ。中央突破に固執して実りのない90分を過ごしたUAE戦は、南アフリカ大会前の、にっちもさっちもいかなくなった岡田ジャパンと重なる。
 
 日本の課題を打破する(という期待のなかで就任した)はずの指揮官が、悪い意味で日本らしいサッカーをやっているのは皮肉だ。アジアの中の日本は「負けても仕方がない国」から「頑張れば勝てる国」に変わりつつある。
 
 現状を打破する特効薬は見当たらないが、ひとつには親善試合でのベストメンバー主義をやめることだ。チケットを売り、視聴率を稼ぎたいのも分かるが、練習試合なのだ。積極的に若手を起用して競争を煽るべきだろう。
 
PROFILE
くまざき・たかし/1971年生まれ、岐阜県出身。本誌記者 を経て、2000年にフリーランスへと転身。世界のサッカー事情に精通し ており、様々な媒体で健筆を振るう。サッカー以外の分野にも明るい。



識者2 二宮寿朗氏の回答
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:どちらとも言えない

 
 弱くなったというより、過渡期にある難しさに直面しているところだと思う。本田、香川、長谷部、岡崎ら常連メンバーがチームの中心であることに変わりはなく、チーム自体 にマンネリ感が強く出ているように感じた。
 
 UAE戦では1‐2とリードされて残り約30分もあるなかで、ゴールを奪い取ることができず、敗北を受け入れてしまった。経験のある選手たちが多くいたにもかかわらず、だ。過去にアジアで勝ってきた、最終予選を勝ち上がってきた経験が、逆に慢心につながった可能性はなかったか。
 
 刺激を入れるべき時期が訪れているのは間違いない。敗北という「結果」を発奮材料にして、タイ戦では立て直してきたが、2敗目など許されない今後は、「競争」で刺激を入れていく必要があるように思う。
 
 そのためには新しい人材の「突き上げ」が求められる。個人的には、国内組にもっと活気づいてもらいたい。減少一途の強化合宿を増やし、ハリルホジッチ監督が直に指 導できる機会を増やしていくべきだろう。
 
 オシムジャパンが国内組を基盤としてチームを作ったように、国内組の選択肢が広がっていけば、戦力を底上げできる。現在、国内のスケジュールはパンパンで、試合以外に代 表が使える期間は限られている。アジア全体のレベルが上がり、易々と勝ち上がれる時代ではない。「所属クラブで成長してくれればいい」ではなく、日本協会としても底上げで きる環境を整備していかなければならない。
 
PROFILE
にのみや・としお/1972年生まれ、愛媛県出身。95年にスポーツニッポン新聞社に入社し、サッカーや格闘技などを担当。2006年に 退社後はNumber編集部を経て、現在はフリーランスとして活躍している。

 
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