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【指揮官コラム】カターレ富山監督 三浦泰年の『情熱地泰』|理不尽な判定でもリスペクト。ただ間違ったら謝るべきだ!

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年09月13日

一度下された判定は覆らない。その理不尽さがサッカーの魅力でもある。

ワールドカップ・アジア最終予選では、日本のゴールが認められない「誤審」が起きてしまった。結果は覆らないが、「誤り」は認めるべきだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 97歳で他界した僕のおばあちゃんが言った。
「間違ったら謝りなさい」と。
 
 おばあちゃん「ごめん」。おばあちゃんが死んじゃったのは96歳だった? おばあちゃん、おじいちゃんにそんなことを教わった人は僕の年代以上であれば少なくないのでは……。
 
 そんなことを教えられた小学校時代、今度はなんでも「ごめんなさい」と謝る仲間に向かって、「謝って(ごめんで)済むなら警察いらない」というフレーズもあった。
 
 ただ本当に間違ったと思うならば、謝るべきだ。立場がどうであってもだ。
 
 しかし世の中、善悪の判断が五分五分だった時は難しい。最終的にその判断がつきにくければ自ずと答えは、立場が下の者が先に謝ることが多い。
 
 本来なら信念を持って自分の強い意志を伝えるべきだが、中途半端に発信してしまえば「言い訳」に取られかねない。
 
 直感で、その場の感覚でやってしまった失敗(間違い)はなかなか難しい。正直、謝るしかない。
 
 言葉もそうだ。「ああ言ったら、こう言う」で、熱くなって暴言を吐く。頭に血が昇れば何を言ったかなんて覚えていないであろう。
 
 売り言葉に買い言葉で、言うつもりのない言葉だったとしても、それはその瞬間に感じたままを素直に出した結果であり、相手を傷つけたと問われれば後日謝るしかない。
 
 スポーツの世界は理不尽だ。とかくサッカーというスポーツのルールは理不尽で理不尽で……。
 
 でもだから、世界で一番熱くなれる人気のあるスポーツなのだと思う。ネットを挟んで行なうテニスやバドミントンのように、プレーが途切れることが多いスポーツとは違う。
 
 接触もあるし、相手に直接触れることが出来るのに触れ方次第でファウルか否かが決まる。それはレフェリーの主観であり、ルールがある以上、本人は主観とは言わないかもしれないが、ファウルにもなり得るもの、そうならないものがある。
 
 ラインを出ていなくてもアウトにもなるケースもあるし、オフサイド判定などは人間の目で判断すれば、これは本当に至難の業だ。ヨーロッパでは、はっきりリプレイを流すが、正しいジャッジをしていることがほとんどだ。
 
 ただ、この一瞬のジャッジが狂ったとしても勝敗に左右する直接的理由になるものとそうでないものがある。
 
 一方で、ネットをはさんで行なうスポーツでは、サッカーで言えばゴールが決まったかどうかを問うような判定が何十回もある。リプレイを使って判定の異議が認められても当然かもしれない。
 
 サッカーの魅力はそこだ。判定が一度下され、その先に進んだら決して変わらない。その理不尽さが魅力のひとつでもあろう。
 
 レベルが低くなればなるほど、ジャッジの過ちは多くなる。カテゴリーのレベルが下がればジャッジする人のレベルも下がる。
 
 ある大会でバーに当たってゴールしたシーンをレフェリーも副審も見落とし、ノーゴールのまま続行された。僕が「フリーで数メートルの位置からバーに当てるヘディングをした選手の責任だ」と言ったら、それを同じくテレビで見ていた人が僕にこう言った。
 
「監督はいつも人のせいにしないのは分かる。人間なんだからレフェリーも選手もミスをすると……」
 
 そしてこうも言った。
「でもミスしたら、間違ったら、謝るべきだよ!」「あの件は(主審が)謝ってきたの?」と。
 
 この件は誰も触れもしなかった。僕らはプロ、相手はアマの関係。僕が許してもそれを守る立場の人間は「何もなかった」で済ませてはいけない。
 
 僕は僕の立場の言葉。応援する人もまた、その人の立場で僕に(周りに)訴える。
 
 この件を黙っていてはいけない人がいる。何故か? このゴールが認められるか、そうでないかで、我々ピッチで闘う人間は職を失う可能性があるからだ。
 
 だから大事なこと。
 
 当然、億が一、謝ってきたとしても何も解決しない。結果が覆ることはない。ただ間違ったら、「ごめんなさい」と謝るべきだ。
 
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