【仙台】カウンターに沈んだホームゲーム。『チャンス』と『リスク』のジレンマ

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2016年09月13日

高い最終ラインの設定を怖がらなかったゆえの攻勢。

最終ラインを統率した渡部。「コンパクトな布陣を保てていた」と前半の出来には大きな手応えを感じたようだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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[J1第2ステージ11節]仙台 0-1 横浜 9月10日/ユアスタ
 
「惜しかったじゃダメなんだよな、もうさ……」。
 
 チームバスの前で呼び止めた記者の問いかけに、渡邉晋監督は心の底から悔しそうな声を漏らした。「正直、いろんな案は頭の中にある。でも、今季やってきたものに対して、『なにができるのか』をもう少し突き詰めたい」
 
 ちょうど1週間前。9月3日の天皇杯2回戦で、J3の盛岡に大量5失点での金星を与えてしまった。その惨敗を受けてのリーグ戦だった。「どのような挽回力を見せられるのか」と満を持して臨んだが、スコアは0-1。勝点以上に、取り戻したかったモノを取り戻せなかった敗戦だった。
 
 ただ、横浜を相手に単に敗れたのではないのは希望の光かもしれない。相手はルヴァンカップと天皇杯の連戦をこなして疲労の色が窺えたとはいえ、それを差し引いても、前半に見せたポゼッションとプレスの融合は見事だった。
 
 左CBに入った渡部博文を中心に最終ラインを高く設定することを怖がらず、2ボランチの富田晋伍と三田啓貴はお互いの距離感を意識しながらポジショニングを修正。
 
 2トップに入ったウイルソンとハモン・ロペスはチェイシングを怠らなかった。それに連動した両サイドハーフの奥埜博亮と藤村慶太は狙いどころを絞って相手を追い込み、たまに繰り出されたカウンターにもチームは慌てなかった。
 
「前半は足も動くし、まずは(相手の勢いを)吸収しようという意識があった。カウンターに対しては、ある程度までなら引くことが前提。CBとボランチの中央がそうすることで、コンパクトな布陣を保てていた」(渡部)
 
 攻撃面でも、予想とは違った横浜の4-1-4-1に戸惑わなかった。アンカーの脇にできるスペースに選手が入り込んでターン。そこを基準点に攻撃を組み立て、中央とサイドにボールを散らして押し込んだ。
 
 ただ、相手陣でプレーした時間の割にチャンスは少なかった。シュートを5本放つも、決定機はなし。いつまでも「フィニッシュの精度」(渡邉監督)は付きまとい、「得点を取らないと勝てないスポーツ」という奥埜の言葉が響く展開となった。
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