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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の八十「良い守備が良い攻撃を作り出す――。その意味で先日の城福監督の采配は……」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年07月22日

バルサも守備が大事で、その破綻が命取りになることを心得ている。

バルサがポゼッションにこだわるのは、攻撃のみならず守備でも優位性を保てるがゆえだ。(C)Rafa HUERTA

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「敵軍が自軍に勝てない態勢とは守備なる形式のことであり、自軍が敵軍に勝てる態勢とは攻撃なる形式のことである」
 
 兵法の大家、孫子は続ける。
 
「守備なる形式を取れば、戦力に余裕があり、攻撃なる形式を取れば、戦力が不足する。古代の巧みに守備するものは、大地の奥底深く潜伏し、好機を見ては天高く機動した。だからこそ、自軍を敵軍の攻撃から保全しながら、しかも敵軍の態勢の崩れを素早く衝いて、勝利を逃さなかったのである」
 
 その戦いの極意は、フットボールにもぴたりと当てはまる。
 
「良い守備が、良い攻撃を作り出す」
 
 不安定な守備のチームが良い攻撃を作り出すことは、ほとんどない。安定した守備が攻撃の車輪を回す。
 
 もっとも、“ほとんど”と記したのは、物事には必ず例外があるから。例えば、FCバルセロナは守ることを出発点にしていない。常に攻めることがフィロソフィーである彼らにとって、守備は間を置かず攻撃を続けるためにある。
 
 しかし、ボールを支配し続けることが守備になっている点では、バルサにしても守備が大事であって、その破綻が命取りになることを心得ている。
 
 つまり、チームが機能しているか、鍛えられているか、伸びる可能性があるのかは、守備の熟成度を見れば、たいていは判明する。
 
 フットボールは手応えのあるプレーを見せても負けることがあるし、なにもできなかったような試合で勝ってしまうこともある。必ずしも、結果はその本質を語らない。
 
 しかし、守備に不安があるチームは遅かれ早かれ、危機に瀕する。誤解されがちだが、守るとは後ろに人を並べる“人海戦術”ではない。むしろ、それは守備のバランスを壊すもので、上策ではないだろう。
 
 良い守備の基準とは、例えばボールを失ったときの選手の距離感やその後のプレスにいくときの強度や連係にある。どこで、いつ、敵ボールホルダーを追い込めるか。その規律が浸透していることは、地力となる。さもなければ、たとえ運良く勝つことができても、必ずツケを払うことになる。
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