初めてホームで敗れた日。おじさんはいつもの顔でポツリと言った。
いつも車を停めている地下の駐車場には、誘導してくれる係のおじさんがいる。僕のために確保してもらっている一台分の狭いスペースに、毎日おじさんがいてくれるおかげで事故もなく駐車できている。
そのおじさんは、僕にとって「神」だ。
チームがホームゲームで初めて敗戦を喫した日のこと。僕がいつものように車を停める時に、ついネガティブな言葉を発してしまった。でも、おじさんは顔色ひとつ変えず、いつもの顔でポツリ。「ゆっくり休んでよ」と声をかけてくれた。
普通の言葉だが、おじさんは僕の内面にあるものを察したようだった。多くを語らず顔にも出さない。友人でも知人でも同僚でも仕事の仲間でもない、普通の駐車場のおじさんの対応が、心に染み入った。
ある時、おじさんは僕に「これで頭洗うとスッキリするよ!」と、塩胡椒の瓶より小さなペットボトルに入ったシャンプーを持って来てくれた。「ストレスがなくなるから」と言ってくれた……。
おじさんも常時、カターレ富山を氣にしているはずだ。しかし、おじさんから「頑張ってね」とか「勝ってね」とか「大変だね」という言葉を聞いたことは一度もない。
おじさんは富山の人であろうが「監督、お願いします!」なんてことも「ありがとう!」なんてことも言われたことはない。
ただ駐車場に車を置くカターレ富山の監督と、駐車場のおじさんの関係だ。
それでも一度、おじさんもやっぱり氣にしてるんだなと思ったことがあった。
それはおじさんが顔のおでこと顎、さらには腕にまで、大きなバンドエイドをしていた時だ。遊びでサッカーをやっていたおじさんは、自分のイメージと現実にギャップがあり、足がもつれて顔から転倒し、怪我をしたというのだ。
おじさんはサッカーのことは触れないが、サッカーをプレーしていた……。もちろん遊びで、らしいが。
昔の大人は「男は黙って」なのだ。
おじさんの心も、富山にあるプロサッカークラブ「カターレ富山」への想いも、その怪我が証明するように熱いものだと思う。
「おじさん、僕はもうプレーはしないよ!」「笛と口だけだね…」とおじさんと談笑した。
僕は今日もまたおじさんの「神対応」のもと、トレーニングに出掛ける。
そのおじさんは、僕にとって「神」だ。
チームがホームゲームで初めて敗戦を喫した日のこと。僕がいつものように車を停める時に、ついネガティブな言葉を発してしまった。でも、おじさんは顔色ひとつ変えず、いつもの顔でポツリ。「ゆっくり休んでよ」と声をかけてくれた。
普通の言葉だが、おじさんは僕の内面にあるものを察したようだった。多くを語らず顔にも出さない。友人でも知人でも同僚でも仕事の仲間でもない、普通の駐車場のおじさんの対応が、心に染み入った。
ある時、おじさんは僕に「これで頭洗うとスッキリするよ!」と、塩胡椒の瓶より小さなペットボトルに入ったシャンプーを持って来てくれた。「ストレスがなくなるから」と言ってくれた……。
おじさんも常時、カターレ富山を氣にしているはずだ。しかし、おじさんから「頑張ってね」とか「勝ってね」とか「大変だね」という言葉を聞いたことは一度もない。
おじさんは富山の人であろうが「監督、お願いします!」なんてことも「ありがとう!」なんてことも言われたことはない。
ただ駐車場に車を置くカターレ富山の監督と、駐車場のおじさんの関係だ。
それでも一度、おじさんもやっぱり氣にしてるんだなと思ったことがあった。
それはおじさんが顔のおでこと顎、さらには腕にまで、大きなバンドエイドをしていた時だ。遊びでサッカーをやっていたおじさんは、自分のイメージと現実にギャップがあり、足がもつれて顔から転倒し、怪我をしたというのだ。
おじさんはサッカーのことは触れないが、サッカーをプレーしていた……。もちろん遊びで、らしいが。
昔の大人は「男は黙って」なのだ。
おじさんの心も、富山にあるプロサッカークラブ「カターレ富山」への想いも、その怪我が証明するように熱いものだと思う。
「おじさん、僕はもうプレーはしないよ!」「笛と口だけだね…」とおじさんと談笑した。
僕は今日もまたおじさんの「神対応」のもと、トレーニングに出掛ける。