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【指揮官コラム】カターレ富山監督 三浦泰年の『情熱地泰』|駐車場のおじさんの「神対応」

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年07月12日

初めてホームで敗れた日。おじさんはいつもの顔でポツリと言った。

どんな時でも変わらない態度で接してくれる駐車場のおじさんに癒されるという三浦監督。プレッシャーの厳しい仕事だからこそ「神対応」が心に沁み入る。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 いつも車を停めている地下の駐車場には、誘導してくれる係のおじさんがいる。僕のために確保してもらっている一台分の狭いスペースに、毎日おじさんがいてくれるおかげで事故もなく駐車できている。
 
 そのおじさんは、僕にとって「神」だ。
 
 チームがホームゲームで初めて敗戦を喫した日のこと。僕がいつものように車を停める時に、ついネガティブな言葉を発してしまった。でも、おじさんは顔色ひとつ変えず、いつもの顔でポツリ。「ゆっくり休んでよ」と声をかけてくれた。
 
 普通の言葉だが、おじさんは僕の内面にあるものを察したようだった。多くを語らず顔にも出さない。友人でも知人でも同僚でも仕事の仲間でもない、普通の駐車場のおじさんの対応が、心に染み入った。
 
 ある時、おじさんは僕に「これで頭洗うとスッキリするよ!」と、塩胡椒の瓶より小さなペットボトルに入ったシャンプーを持って来てくれた。「ストレスがなくなるから」と言ってくれた……。
 
 おじさんも常時、カターレ富山を氣にしているはずだ。しかし、おじさんから「頑張ってね」とか「勝ってね」とか「大変だね」という言葉を聞いたことは一度もない。
 
 おじさんは富山の人であろうが「監督、お願いします!」なんてことも「ありがとう!」なんてことも言われたことはない。
 
 ただ駐車場に車を置くカターレ富山の監督と、駐車場のおじさんの関係だ。
 
 それでも一度、おじさんもやっぱり氣にしてるんだなと思ったことがあった。
 
 それはおじさんが顔のおでこと顎、さらには腕にまで、大きなバンドエイドをしていた時だ。遊びでサッカーをやっていたおじさんは、自分のイメージと現実にギャップがあり、足がもつれて顔から転倒し、怪我をしたというのだ。
 
 おじさんはサッカーのことは触れないが、サッカーをプレーしていた……。もちろん遊びで、らしいが。
 
昔の大人は「男は黙って」なのだ。
 
 おじさんの心も、富山にあるプロサッカークラブ「カターレ富山」への想いも、その怪我が証明するように熱いものだと思う。
 
「おじさん、僕はもうプレーはしないよ!」「笛と口だけだね…」とおじさんと談笑した。
 
 僕は今日もまたおじさんの「神対応」のもと、トレーニングに出掛ける。
 
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