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「託す人、託される人」。五輪メンバー入りした大島と原川に、負傷離脱中の奈良が送った熱いメッセージ

カテゴリ:日本代表

いしかわ ごう

2016年07月01日

当落線上だった原川は、いつものポーカーフェイスを崩さなかった。

リオ五輪メンバーに選出された原川(15番)と大島(10番)は、怪我で間に合わなかった奈良(3番)の想いをしっかりと受け止めた。

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「無心ですね。やることはやってきたので、待つだけです」
 
 メンバー発表を控えた当日の昼、原川力は現在の心境を聞かれると、そう述べるにとどまった。当落線上の選手のひとりという予想が多かったものの、本人の表情にはどこか余裕があるように見える。元日本代表の中田英寿氏を思わせるようなポーカーフェイスで、いつも落ち着いている印象である。
 
 今年1月のリオ五輪アジア最終予選では、出場切符をかけた準決勝・イラク戦で決勝ゴールを決めて、一躍時の人となった。今シーズンからはJ2の京都からJ1の川崎に移籍。しかし優勝を争うチームの中盤は激戦区で、満足な出場機会を得られていたとは言い難かった。それでも、その決断に悔いはなかったと話す。それはこのメンバー発表を控えた瞬間でも同じだった。
 
「オリンピックのための移籍だとは思っていないですし、自分の成長のために移籍しました。オリンピックどうこうは関係ないですね」
 
 そして原川は選ばれた。世界という舞台で戦える楽しみを、こう口にした。
 
「本番ならではの感覚があると思ってます。同世代の世界大会は初めてなので、そこでどれだけできるか。個人としても現在地を知れる良い機会だと思っています」
 
 チームで溜め続けているそのパワーは、ブラジルの地で解放することになる。
 
 原川とは対照的に、大島僚太に関しては、「当確」との見方が強かった。5月にフランスでのトゥーロン国際大会を終えて帰国すると、その足で初選出となったA代表候補合宿に合流。実力はもちろんのこと、発表直前の南アフリカ代表戦でキャプテンマークを腕に巻いていたのは、指揮官からの信頼の現われだった。
 
 とはいえ、この1か月間は激動だった。
 世代別代表とA代表を掛け持ちする日程を経て、所属クラブでは優勝争いの試合の連続だ。息つく間もないとは、まさにこのことだった。そんな過密日程を過ごしていたある日の練習後、「今、なにをしたいか」と尋ねると、こんな風に話してくれた。
 
「なにも考えずにボールを蹴る時間が欲しいですね。誰もいないグラウンドで、誰も見ていない時にひとりでボールを蹴る状態になりたいです」

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