【EURO 今日は何の日】7月1日「決勝で真価発揮のスペイン、圧勝&連覇(12年)」

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年07月01日

イタリアの中盤の要を封じてワンサイドゲームに持ち込む。

当然ながら対戦する全てのチームから徹底マークされたスペインだが、それをはね返すだけの圧倒的な力を当時のチームは持っていた。 (C) Getty Images

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 EUROの歴史において、グループステージ初戦のカードが決勝で再現されたのは、1988年(オランダ対ソ連)、96年(ドイツ対チェコ)、2004年(ギリシャ対ポルトガル)、そして12年(スペイン対イタリア)の4度である。
 
 このうち、雪辱を果たしたケースは88年(オランダが優勝)の1度だけ。96年、04年大会では、ドイツ、ギリシャがそれぞれ相手を返り討ちにしている。
 
 この3つと異なるのが12年だ。スペインとイタリアは、グループステージ初戦を1-1で引き分けていた。その後、前者が首位で決勝トーナメントに進み、以降、両チームはそれぞれの山を勝ち上がって、優勝決定戦で再び対峙した。
 
 7月1日。ウクライナ・キエフのオリンピスキに登場した両チームの顔ぶれは、前回王者スペインがグループステージ時と全く変わらなかったのに対し、イタリアは3人が様々な理由で入れ替わり。またシステムも、4バックから3バックに変更されていた。
 
 しかし、大きな変貌を遂げていたのはスペインの方だった。グループステージの対決で押し込まれた反省から、スペインのビセンテ・デル・ボスケ監督は、シャビとセスク・ファブレガスに対し、イタリアの中盤の要、アンドレア・ピルロを封じるよう指示を送っていた。
 
 これが序盤から、抜群の効果を示す。イタリアはパスが繋がらず、攻撃を組み立てることができない。対するスペインはいわゆる「ゼロトップ」を採用して中盤を制し、緩急の変化をつけた長短のパスによってチャンスを量産していったのである。
 
 コンディション的にも完全でなく、選手の動きが重いイタリアから、休養十分のスペインは14分に早くもリードを奪う。アンドレス・イニエスタのスルーパスを受けたセスクが中央に折り返し、これをダビド・シルバが頭で押し込んだのだ。
 
 その後も、イタリアのDFとMFのライン間に自由に侵入してパスを繋ぐスペイン。41分には、左サイドを疾走するジョルディ・アルバにシャビからのスルーパスが通り、2点目がもたらされる。この時点で、前回王者は大きく連覇に近付いた。
 
 イタリアにとっては、たびたび災難が降りかかった一戦。開始21分で守備の中心であるジョルジョ・キエッリーニが負傷退場。さらに後半に入ると、57分にリッカルド・モントリーボに代わって投入されたチアゴ・モッタが、間もなくして肉離れに倒れたのである。
 
 すでに交代枠を使い切っていたイタリアは、序盤から劣勢の試合で2点ビハインド、さらには数的不利まで強いられ、もはやどこにも勝機を見出すことはできなかった。
 
 それでも点を取りにいかざるを得ず、前がかりとなったイタリアだが、当然、その後には、手薄になった自陣スペースを好きなように利用され、スペインの強力な攻撃に翻弄される時間が待っていた。
 
 スペインは、84分にフェルナンド・トーレス、88分にはファン・マタと、交代選手がダメ押しのゴールを挙げ、EURO決勝史上、最多得点&最多得点差を記録して、大会初となる連覇にさらなる彩りを添えた。
 
 この大会ではややもたつくところもあったスペインだが、決勝で最高の出来を見せ、3度目の欧州制覇、そして欧州(08年大会)→世界(10年南アフリカ・ワールドカップ)→欧州(12年大会)という、初のメジャー大会3連覇を達成してみせた。
 
 新たな歴史を作ったスペインの時代はまだ当分のあいだ続く――。この頃は、多くの人がそう確信していたものである。
 
◎7月1日に行なわれた過去のEUROの試合
◇2004ポルトガル大会
準決勝
ギリシャ 1(延長)0 チェコ
 
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
決勝
スペイン 4-イタリア
 
※日付は全て現地時間
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