昨年度の選手権ベスト８の駒澤大高と、同準優勝の國學院久我山。選手権で東京都代表として躍動した２校が、T1リーグの舞台で激突した。
 
「周りは選手権ベスト８VS準優勝と見るかもしれませんが、僕は関東大会出場チームVS関東予選２回戦負けのチームと思っています。そこの捉え方は、彼らよりも自分たちの方が下ということを感じてほしい。今年は今年のチームですから」
 
　清水恭孝監督がこう語ったように、関東大会東京都予選２回戦でまさかの敗退を喫した國學院久我山に対し、駒澤大高は決勝進出を果たし、関東大会出場を手にしていた。しかし、T1リーグでは４勝１分けの首位を走る國學院久我山と、３位の駒澤大高。ともに今年の東京をリードする存在であることに変わりはなかった。
 
　試合はその期待通り、白熱した展開を見せる。立ち上がり勢いに乗ったのは駒澤大高だった。８分に相手のミスからカウンターを仕掛けると、MF三浦岳文が決めて、幸先よく先制する。
 
　さらに攻撃の手を強める駒澤大高は、12分にFKをDF村上哲が直接狙うが、久我山GK平田周がファインセーブ。「前半の入りの悪さは愕然としました」と清水監督が語ったように、久我山はパスミスが目立ち、駒澤大高の鋭い出足の前に後手に回った。
 
　１-０で迎えた後半開始早々の４分、再び相手のパスミスを奪った駒澤大高は、スルーパスに抜け出したFW影山克明のシュートをGKが弾いたこぼれを、三浦が押し込んで、２点差に突き放す。その後も駒澤大高ペースで試合が進んだが、決定機をGK平田の好守に阻まれると、徐々に流れが久我山に移って行く。
 
　65分、調子が上がらないMF戸田佳佑に代えて、１年生FW宮本稜大を投入。センターフォワードだった安藤謙生を左FWに、宮本をセンターフォワードに置いて、前線を配置転換した。これがはまり、宮本が果敢に裏を狙い、安藤が左から得意のカットインを仕掛ける。攻撃に流動性が生まれたことで、これまで沈黙していたトップ下の名倉巧とボランチの筑久航介のパスが冴えを見せ始める。
 
　85分、筑久のスルーパスに抜け出した宮本がGKとの1対1を冷静に決めて、反撃の狼煙を上げると、90分には左サイドで筑久のパスを受けた安藤が、カットインから強烈ミドルを対角線上に突き刺した。同点に追いつき、さらに勢いに乗った久我山は、アディショナルタイムに筑久が強烈なミドルシュートを放つが、これは駒澤大高GK鈴木怜が気迫で止め、タイムアップ。試合は土壇場で久我山が追いつく形で、２-２のドロー決着に終った。