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【セリエA現地コラム】ナポリの躍進を支える「生え抜き」インシーニェ。地元アイドルの悲喜こもごものキャリアとは?

カテゴリ:連載・コラム

片野道郎

2016年03月10日

ナポリで生まれ育った生粋の「シュクニッツォ」。

イグアイン(中央)とカジェホン(左端)とともに驚異の3トップを形成。インシーニェ(右端)はキャリア最高のシーズンを送る。(C)Getty Images

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 ここ1か月でやや失速したとはいえ、首位ユベントスを3ポイント差で追いかけ、26年ぶりのスクデットに大きな希望を残しているナポリ。28試合で26ゴールを挙げ得点王争いを独走するアルゼンチン代表ゴンサロ・イグアインと並んで攻撃陣を引っ張っているのが、ここまで11得点・10アシストを記録している左ウイングのロレンツォ・インシーニェだ。
 
 身長163センチとセリエAでも一、二を争う小兵ながら、低い重心と太い両脚がもたらす卓越したアジリティーとクイックネス、繊細な右足のテクニック、そして際立った創造性を武器に、左サイドを起点とする「逆足のウイング」として、攻撃の最終局面で決定的な違いを作り出している。
 
 1991年6月4日生まれの24歳。ナポリの街場で生まれ育った利発で機転の利く、いい意味でのずる賢さを備えた少年のことをナポリ弁で「シュクニッツォ」と言うのだが、インシーニェはその生い立ちはもちろん、ピッチ上でのプレーも含めて、まさに生粋のシュクニッツォだ。
 
 4人兄弟の次男で、靴工場の工員だった父カルミネはアマチュアのサッカー選手でもあり、3歳年上の兄アントニオも10代半ばでトリノとインテルのセレクションを受けたというサッカー一家で育つ。結局、兄弟全員がサッカー選手となった。
 
 勉強は身が入らず、中学、高校は欠席のほうがずっと多かった。たまに学校に行ってもすぐに教室を抜け出し、廊下で口笛を吹いて1学年上の兄(年は3歳上だが2年落第していた。イタリアには義務教育でも落第がある)を呼び出して一緒にサボっていたという。
 
 義務教育を終えた後、高校は1年で退学。父が失業したため、朝からフラッタマッジョーレの市場で服などを売るアルバイトをして家計を助け、午後はサッカーの練習に通うという毎日を送っていた。
 
 2006年にナポリの下部組織に入団すると、アッリエービ(U-17)、プリマベーラ(U-19)と順調にステップアップし、09-10シーズンにトップチームに昇格。10年1月には、ワルテル・マッザーリ監督の下、18歳でセリエAデビューを果たした。
 
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