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【浦和担当記者の視点】なぜ、大一番で負け続けてきたのか? 「楽しむ」という言葉に抱いてきた違和感

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年01月04日

チャンピオンシップ準決勝からなにを学び、どのように活かしたのか。改善や変化が感じられなかったことが、残念でならなかった。

元日の天皇杯決勝、興梠のゴールで一時は同点に追いついた。しかし、その後、またも大事な局面でミスから失点を与えてしまい……。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 2016年の元日の味の素スタジアムは、そこに訪れるすべての人を祝福するかのような晴天に恵まれた。もちろん勝負ごとだから、浦和かG大阪のどちらかが勝ち、どちらかが負けるのは分かっている。ただ浦和にかかわるすべての人が、幸せな新年が始まると信じていた。なにより浦和にとってG大阪はライバルであり、立ちはだかる「壁」と言える存在。14年シーズンのリーグ32節で優勝まであと1勝という状況で負け、15年シーズンのチャンピオンシップ準決勝でも敗れた。それだけに、まさに心機一転、「16年元日」はリベンジするのに絶好の舞台と言えた。
 
 しかし終わってみれば、相変わらず相手の思惑にまんまとハマって失点し、相変わらず試合終盤に焦って繰り出す捨て身のパワープレーが不発に終わり、そして、また負けた。トドメを刺されなかったことを除けば、1か月前のチャンピオンシップ準決勝(浦和が1-3で敗戦)と展開は似ていた。
 
 準決勝の柏戦で足を傷めた柏木の欠場が響いたのは確かだ。しかしシーズン中、浦和は柏木を欠いた試合をモノにしてきた。一方のG大阪もCB岩下が欠場し、前半早々に右SB米倉が足を痛めて途中退場している。柏木欠場が、浦和にとって最大の敗因だったとは言えない。だから、チームとして、あのチャンピオンシップ準決勝からなにを学び、どのように活かしたのか、その改善や変化が感じられなかったことが、残念でならなかった。
 
 試合開始前に鮮やかなコレオグラフィ(人文字)を描いたゴール裏の浦和サポーターが、それから2時間後、拍手にまざりブーイングや憤りの声を選手たちに飛ばしたのも致し方なかったと思える。誰もが好き好んで元日から罵声を飛ばそうとなど思っていなかったはずだ。
 
「なぜ、勝てないのか」
 
 決勝戦直後、浦和の選手たちはロッカールームで考えた。
 
「でも、分からない……」
 
 選手たちは答を見出せず、うなだれたまま沈黙したという。
 
 実際、改めて試合をVTRで振り返ってみたが、あらゆる面で紙一重の差だったと感じた。浦和が決して“悪かった”わけではない。
 
 柏木不在によりテンポよくパスはつなげなかったものの、交代出場した関根、高木の両ウイングバックはほとんどミスせず、クロスやパスを味方につなげていた。73分の李、90+4分のズラタンの決定的なヘディングシュートが決まっていれば、一転して、称賛されていただろう。
 
 言ってみれば、浦和はいつも通り(シーズン中にもあった柏木不在時の戦い方)のプレーができていた。一方、G大阪は「(柏木がいない場合の青木と阿部の2ボランチは)2枚とも下がり、3バックがローテーションで攻撃に加わり、サイドから圧力をかけてくる。こちらが1点取った後に押し込まれたので、もう少し前線の選手にプレッシャーをかけるように話した」(長谷川監督)と“柏木不在の浦和対策”を綿密に立て、実践していたのだ。
 
 CKからのパトリックの2点目も、浦和の選手はマーカーに対してボールに背中を向けても付こうとする“癖”を見抜かれ、サインプレーからパトリックに突かれた。そんなG大阪からすれば、浦和の“いつも通りの攻撃”は想定内であり、対応は難しくなかったということ。傾向と対策が明確にできていたのは、G大阪だった。
 
 ペトロヴィッチ監督の采配が疑問視されるが、むしろ差が出たのはスカウティング力と、それを選手たちに落とし込む作業だったのではないだろうか。もしかすると、そういった対策を練る作業を含め、浦和はペトロヴィッチ監督に依存し過ぎているのかもしれない。浦和のスカウティング部隊は機能しているのか、その情報を現場で共有できているのか、それとも指揮官がスタッフの話にあまり耳を貸そうとしないのか、その点は検証すべきだ。
 
 興梠は次のように敗因を語った。
 
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