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連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】「日本の天敵」から逆転勝利で広島が世界3位! 実り多きシーズンの素晴らしき集大成!

カテゴリ:ワールド

熊崎敬

2015年12月21日

ふたつの交代によってゴールへの道筋をつける。

日本の天敵とも言える広州恒大から逆転勝利を収め、世界3位の勲章を手にした広島。実り多きシーズンをポジティブに締めくくった。 (C) SOCCER DIGEST

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 広島が「日本の天敵」広州恒大を退けた一戦は、実り多きシーズンの集大成といってもいい素晴らしいゲームだった。
 
 準決勝から中2日の広州と、移動を含めた中3日の広島、ゲームの主導権を握ったのは後者だった。CKから先制されたが、ボールへの反応の速さで広州を上回り、多くのチャンスを創り出す。
 
 もっとも、内容で上回りながら結果で敗れるというのは、日本勢の多くが広州戦で繰り返してきたこと。多くのチャンスをふいにした、リーベル戦の二の舞も考えられた。
 
 だが森保監督は、ふたつの交代によって広州のゴールを攻略する。
 
 58分、佐藤に代えてドウグラス。
 67分、ミキッチに代えて柏。
 
 森保監督は最初の交代で前線の高さと強さを増強、ふたつ目の交代によって右サイドからのクロスを増やしたことで、きっちりとゴールへの道筋をつけた。
 
 前半から広島はサイドアタックが機能していた。特に左サイドの清水は敵を圧倒し、1対1の局面のほとんどで勝っていた。
 右サイドでもミキッチが躍動していたが、疲労も考慮して柏を投入。この柏が再三、果敢な仕掛けを見せたことで、広州は右も左も穴だらけに。この流れをドウグラスが2度、ゴールに結びつけた。
 
 チャンピオンシップから続く連戦の中でも、広島が安定した試合運びを見せられているのは、手堅い守備からのサイドアタックというスタイルが浸透しているからだ。
 そのため苦しいときでもやることははっきりしているし、選手層は厚いとはいえないもののベンチメンバーの役割が明確化されている。
 
 サッカーではよくチーム全員でのイメージの共有が重要だといわれるが、それがいちばんできているのが広島だ。それがなければ、彼らは日本一になることも、アジア王者にも勝つことはできなかっただろう。
 
 最後に、この大会では広島のファンの少なさが話題になった。
 準決勝の長居はリーベルの応援団に占拠され、3位決定戦でも広州のサポーターの方が目立っていた。
 
 こうした現実を取り上げて「開催国のチャンピオンなのに恥ずかしい」という人がいるが、私は恥ずかしいとは思わない。
 
 大会の価値観は人それぞれ。リーベルのように人生を懸けてやって来る人たちばかりではないからだ。アルゼンチンから日本は遠いが、広島から大阪や横浜だって近くはない。お金はかかるし、みんな仕事や学校があるのだ。そもそも広島は地方のチームで、ファンの数も多くはない。そういう人々に向かって、あの巨大なスタジアムを埋めろというのだろうか。
 
 それでも空席は恥ずかしいという人は、昇格プレーオフで長居を満杯にできなかったセレッソも叩かなければフェアではない。
 
 私は時々、無性に南米のサッカーが観たくなってブラジルやアルゼンチンに行く。南米にも空席だらけのゲームはあるが、それでも私は十分に楽しんでいる。
 少なくとも、「地球の裏側から日本人が見に来ているのに、地元の人々が見に行かないのは、どういうことだ!?」などと怒ったりしませんよ。
 
 広島はほんとうによくがんばった。選手もサポーターも一生懸命戦い続け、その先に世界3位の勲章が待っていた。素直に称賛したい。
 
取材・文:熊崎敬
 

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