【浦和】『失速の浦和』なんて言わせない。克服すべき『周作頼み』の不安定な守備

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年11月08日

“アシストのアシスト”にビッグセーブ。川崎戦、GK西川が攻守で活躍する。

川崎戦の試合前、スタンドを覆った美しい新しいコレオグラフィが浦和の選手たちを鼓舞した。写真:石倉愛子

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 狙い通りのGK西川の“アシストのアシスト”だった。
 
 オフサイドで得た自陣からのFK。低い位置まで降りてきたズラタンが“空いた”のを見逃さず、浦和の背番号1が左足から鋭いロングフィードを放つ。
 
 そのボールをズラタンがヘッドで合わせて後方に逸らす。「ボールが来るとしたら、このあたりだろうと読んでいた」と興梠がその得点感覚を活かして走り込み、相手選手を振り切りループシュートを決める。
 
 この先制点が決して偶然ではなかったと、ズラタンは明かしている。
 
「浦和では珍しいゴールかもしれないけど、(西川)周作から『相手のプレスが厳しくてぽパスを出すところがない時は、まずズラを狙うから』と言われていたんだ。(興梠)慎三の飛び出しも素晴らしかったね」
 
 西川は攻守両面で“ファインプレー”を見せた。この得点に絡む攻撃面での貢献に加え、後半、守備でも再三に渡るビッグセーブでチームを救った。
 
 試合終盤には二度、“見せ場”が訪れた。
 
 86分、スルーパスに抜け出した田坂のシュートを、思い切りよく飛び出して間一髪食い止める。
 
 そして90分、カウンターから川崎に2対5の数的不利に持ち込まれる。だが西川が一つひとつ隙のないポジショニングを取り、綻びを作らせない。最後は再びラストパスを受けたフリーの田坂との1対1になり、シュートは大きくバーの上へ。駆け引きに西川が勝ったのだ。
 
 結果、1-1で引き分け。2週間後の第2ステージ最終節、事実上、浦和が神戸に勝ち、広島が湘南に負けるしか、逆転で年間1位になれなくなった(得失点差で、広島が浦和より12点も多いため)。
 
「『失速の浦和』と言われてしまっているけど、内容は悪くない。後ろでボールを回そうとせず、積極的にみんなでゲームに入っていけている。その点はポジティブに捉えていいところ」
 
 この日、27歳の誕生日を迎えた武藤は言った。もちろん、主導権を握っている間にゴールをさらに決め切れなかったところは課題である。ただ、川崎相手に圧倒できた前半は大きなプラス材料になると少なからず手応えを得ていた。
 
 得点を決めた興梠も次のように反省点を挙げた。
 
「前半だけで、疲れてしまった。運動量が落ち、バランスが悪くなった。自分も守備に疲れてしまった。もっと体力を上げないとね」
 
 その一方、最終節の神戸戦で決して希望を捨てていないことを強調していた。
 
「可能性が少しであっても、決して諦めていない。昨年も最終節、(“独走”で最下位とJ2降格が決まっていた)徳島がG大阪に引き分けた。浦和が勝てば優勝できた。今回も、ホームのたくさんのサポーターの前で、勝つこと。去年とは違うところを見せないといけない」
 
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