阿部の唇は怒りでかすかに震え、足早にその場を去ってバスへ――。
G大阪戦後、浦和の阿部勇樹は珍しく怒りを露わにした。その原因は試合後の“ある質問”にある。
G大阪に1-2で敗れた浦和は、第2ステージ優勝から遠のき、年間順位でも1位から2位に後退。近年の終盤戦でチームが失速傾向にある事実を踏まえ、テレビ取材でこんな質問が飛んだのだ。
――チームは終盤戦になると下降線を辿るなか、今季もまた下降線に入っていると思いますが、現状をどう思っていますか。
それまで冷静に試合を振り返っていた阿部が、一瞬「え?」という表情を浮かべ、「ちょっともう一度いいですか」と聞き返す。同じ趣旨の質問を再び投げかけられると、顔色を変えて語気を強めた。
「別にそう(下降線に入っていると)は思っていないし、そう思われる方がいっぱいいてもいいんじゃないでしょうか。それを覆していくのが僕たちなので」
唇は怒りでかすかに震えていた。この直後、足早にその場を去ってバスへと向かう。歩きながら、今度は記者陣に胸中を明かした。
「(ああやって)言われると燃えるし、あの質問は正直、頭に来た。でも、それを覆すのが僕たちの責任だと思うので、しっかりプレーで見せないといけない。そういうプライドもあるので」
その後はG大阪戦の内容について語り、徐々に穏やかな口調へと戻っていく。一度は溜飲が下がったかに見えたが、やはり“あの質問”が心のどこかに引っかかっていたのだろう。そこから“頭に来た理由”を一気に語り出したのだ。