• トップ
  • ニュース一覧
  • 【ノスタルジー回想】ミランとナポリ――スーパースターによって覇者を決する夢のカードだった頃……

【ノスタルジー回想】ミランとナポリ――スーパースターによって覇者を決する夢のカードだった頃……

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年10月05日

現状への不満はつのり、良き時代のノスタルジーが強まる現在。

かつては7万人以上が詰めかけるのが当たり前だったカード。今回、サン・シーロに足を運んだのは50488人と、割と多めだったが、悲惨な敗北が今後の観客動員数にどれほどの影響を及ぼすか……。 (C) Getty Images

画像を見る

 セリエA第7節、ミランは本拠地サン・シーロにナポリを迎え、0-4の惨敗を喫した。前節ジェノア戦に続く2連敗で、通算成績は3勝4敗と黒星が先行し、11位に沈んでいる。
 
 内容的にも悪く、試合後にはシニシャ・ミハイロビッチ監督が「精神的に弱すぎる」と選手をこき下ろし、2試合連続でベンチを温めた本田圭佑は「このままではミランの再建は5年、10年とかかる」と、クラブの方向性そのものを批判した。
 
 久々に高額の資金を投入して戦力補強を行なったにもかかわらず、いっこうにその成果が見えないことに苛立っているのは、現場だけではない。フロント、そしてサポーターたちもまた、現在のチームに失望し、怒りすら覚えている。
 
 彼らが夢見るのは、かつて欧州や世界の舞台で猛威を振るい、サッカー界の最高ブランドとして君臨していた時代の「グランデ・ミラン」復活である。錚々たるスターの集団が、最新の戦術でハイレベルなサッカーを展開し、勝利を重ねて多くのトロフィーを獲得した栄光の時代である。
 
 しかし、今や世界最高の称号はスペイン、ドイツ、イングランドのビッグクラブのものとなり、ミランといえば、国内で下位クラブにすら満足な勝利を奪うことが稀となっているのが現状だ……。
 
 クラブの財政事情、スター選手が獲得できないブランド力の低下など、一朝一夕では解決できない問題がミランの前には立ちはだかっている。それは誰もが分かっているはずだ。だからこそ、現状への不満は日に日に募り、同時に繁栄を謳歌した時代へのノスタルジーは強くなるばかりなのである。
 
 ミランとナポリといえば、80年代半ばにスクデットをめぐって熾烈なデッドヒートを展開した記憶が、今でも世界のサッカーファンの記憶に残っている。それは1987-88シーズン、ミランにルート・フリット、マルコ・ファン・バステンのオランダコンビが到来してからである。
 
 1986年に“メディア王”シルビオ・ベルルスコーニがオーナーの椅子に座り、その数年前には破産の危機に直面していたミランを莫大な投資で強化、いよいよスクデット獲得に打って出たのがこの87-88シーズンだった。
 
 対するナポリは、86年のメキシコ・ワールドカップでアルゼンチン代表を世界王者に導いた天才ディエゴ・マラドーナが、その勢いを所属クラブにももたらし、創立61年で初のスクデット獲得を遂げ、王者としてこのシーズンに臨んでいた。
 
 果たせるかな、スクデット争いはミランとナポリによる一騎打ちの様相を呈した。とはいえ、マラドーナが変わらず好調のナポリは5節で首位に立ち、終盤戦までこれを維持。一方、ミランは9節で2位に上昇し、そこからナポリに食らいついていった。
 
 13節、7万5千人の観衆を集めたサン・シーロでの直接対決では、ミランが4-1で勝利。カレッカの先制ゴールを許すも、アンジェロ・コロンボ、ピエトロ・ヴィルディス、フリット、そしてロベルト・ドナドーニがゴールを奪い、王者に最初の土をつけたのである。
 
 それでも順位は変わらず、ナポリの2連覇が目前となった28節(当時は全30節)、再び両チームの直接対決の時が訪れた。サン・パオロは8万2千人の観衆で超満員となり、ホームチームを後押ししたが、先制点は今回もアウェーチーム。ヴィルディスのゴールがスタジアムに一瞬の静寂をもたらした。
 
 しかし、ナポリは主役であるマラドーナが同点ゴール。再びサン・パオロはヒートアップしたが、ミランは再びヴィルディスが決めてリード、そしてファン・バステンが点差を広げる。ナポリはカレッカが決めるも、あと1点が奪えず、あまりに痛い黒星……。ここで19節も守ってきた首位を明け渡したのである。
 
 結局、この直接対決の結果が両チームの明暗を分け、ナポリは連覇を逸し、ミランは改革1年目でスクデット獲得という最高の結果を残し、ここから他に例のないほどの世界的な成功を収めていくのである。

スタジアムが夢空間と化した87-88シーズン以降。マラドーナにフリットが挑む構図となった初年度の対決は、後者が勝利してミランの黄金時代の幕を開いた。 (C) Getty Images

画像を見る

ファン・バステンは、マラドーナ擁するナポリ戦では通算2ゴール。もっと多くの対決を見てみたかったものだ。右は若き日のチーロ・フェラーラ。 (C) Getty Images

画像を見る

【関連記事】
ナポリに大敗したミラン――「献身性」と「闘争心」がまるで感じられず…
【速報】ミランの本田に新ライバル!? 「元10番」の練習参加が決定
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「指揮官を悩ます“トップ下問題”の裏側にあるものとは?」
過去には6点差の勝利も――敵地で“高くて厚い壁”ユベントスに挑むミラン
策なし、強さなし、スターなし……あまりに寂しい“地味な”ミラン

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ