新戦力の発掘という本来の目的に準じるなら韓国戦をテストの場とする可能性も。
情報漏洩を恐れたのか、ハリルホジッチ監督は韓国戦のヒントをほとんど与えてくれなかった。19時から始まった前日練習は、北朝鮮戦のスタメンとベンチ組を二分割した完全別メニュー。全員が一緒にトレーニングする時間は一切なく、ピッチを広く使った戦術確認も、紅白戦も行なわなかったのだ。
「特にグループ分けに意味はありませんし、明日、誰が出るかも決まっていません」
練習後の会見でも、指揮官は報道陣を煙に巻いた。ただ、わずかながら、韓国戦のスタメンについて次のように言及している。
「(北朝鮮戦から)何人かは交代します。試合に出た何人かは非常に疲れているので、他の選手に機会を与えようかと思っています」
このハリルホジッチ監督の言葉を額面どおりに受け取るならば、ベースとなるのは北朝鮮戦のスタメンだ。例えば、90分間に渡って運動量が落なかった山口、55分でピッチを退いた宇佐美あたりは、「非常に疲れている」何人かには含まれていないと思われる。
前者は唯一のJ2からの選出で、J1勢よりも体力的な余裕を持って大会に臨んでいるし、後者は試合途中でピッチを退いたため、消耗の度合いは比較的軽い。このふたりに加え、1ゴールと結果を出した武藤や、現体制下で4試合にフル出場する槙野も連戦する可能性があるだろう。
一方、今大会での初先発が濃厚なのが、太田と柴崎だ。立ち上げ当初から招集されているこのふたりは、いわばハリルホジッチ体制のコアメンバー。怪我の影響さえなければ、北朝鮮戦のスタメンにも名を連ねていた人材である。
太田はまだ完調ではないようだが、柴崎は北朝鮮戦でもプレーしており、状態は良さそう。柴崎はこれまでの起用法からトップ下と予想するが、武藤が先発すればボランチへスライドするだろう。
その他のポジションは、正直予想が難しい。練習でのアピール材料が乏しいうえに、北朝鮮に敗れた影響で、韓国戦を含めた残り2試合の使い方が難しくなっているからだ。
仮に韓国戦でも北朝鮮戦のメンバーを軸に据えた場合、次の中国戦はどうするのか。韓国に勝ち、中国戦を叩けば優勝というシチュエーションでサブ組をテストできるのだろうか。
その逆も然りだ。負けたら連覇の可能性が消える韓国戦で多くのニューフェイスを起用すれば、連係面の不安が顔を出すリスクは高まる。ひいてはそれが、敗因にもつながりかねない。指揮官にとっては、まさに八方塞がりだろう。
とはいえ、こんな考え方もできる。欧州組不在の今大会は、新戦力の発掘が本来の目的だ。もっとも強いと思われる韓国戦をテストに当て、戦える選手を探り当てる――。
前日練習中、ほぼすべての時間でサブ組を指導していたのも引っかかる点だ。
なにかとエキセントリックな発言や行動で波紋を呼び起こしがちな指揮官のことである。思い切ったスタメンの総替えも視野に入れているかもしれない。
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)
「特にグループ分けに意味はありませんし、明日、誰が出るかも決まっていません」
練習後の会見でも、指揮官は報道陣を煙に巻いた。ただ、わずかながら、韓国戦のスタメンについて次のように言及している。
「(北朝鮮戦から)何人かは交代します。試合に出た何人かは非常に疲れているので、他の選手に機会を与えようかと思っています」
このハリルホジッチ監督の言葉を額面どおりに受け取るならば、ベースとなるのは北朝鮮戦のスタメンだ。例えば、90分間に渡って運動量が落なかった山口、55分でピッチを退いた宇佐美あたりは、「非常に疲れている」何人かには含まれていないと思われる。
前者は唯一のJ2からの選出で、J1勢よりも体力的な余裕を持って大会に臨んでいるし、後者は試合途中でピッチを退いたため、消耗の度合いは比較的軽い。このふたりに加え、1ゴールと結果を出した武藤や、現体制下で4試合にフル出場する槙野も連戦する可能性があるだろう。
一方、今大会での初先発が濃厚なのが、太田と柴崎だ。立ち上げ当初から招集されているこのふたりは、いわばハリルホジッチ体制のコアメンバー。怪我の影響さえなければ、北朝鮮戦のスタメンにも名を連ねていた人材である。
太田はまだ完調ではないようだが、柴崎は北朝鮮戦でもプレーしており、状態は良さそう。柴崎はこれまでの起用法からトップ下と予想するが、武藤が先発すればボランチへスライドするだろう。
その他のポジションは、正直予想が難しい。練習でのアピール材料が乏しいうえに、北朝鮮に敗れた影響で、韓国戦を含めた残り2試合の使い方が難しくなっているからだ。
仮に韓国戦でも北朝鮮戦のメンバーを軸に据えた場合、次の中国戦はどうするのか。韓国に勝ち、中国戦を叩けば優勝というシチュエーションでサブ組をテストできるのだろうか。
その逆も然りだ。負けたら連覇の可能性が消える韓国戦で多くのニューフェイスを起用すれば、連係面の不安が顔を出すリスクは高まる。ひいてはそれが、敗因にもつながりかねない。指揮官にとっては、まさに八方塞がりだろう。
とはいえ、こんな考え方もできる。欧州組不在の今大会は、新戦力の発掘が本来の目的だ。もっとも強いと思われる韓国戦をテストに当て、戦える選手を探り当てる――。
前日練習中、ほぼすべての時間でサブ組を指導していたのも引っかかる点だ。
なにかとエキセントリックな発言や行動で波紋を呼び起こしがちな指揮官のことである。思い切ったスタメンの総替えも視野に入れているかもしれない。
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)